こんにちは、社会人大学生の黒野です。
私は現在、正社員をしながら法政大学の通信制で大学生をしています。
今回は、先日単位を取得した「哲学」の攻略法と感想、難易度、所要時間を解説します。ラッセル著「哲学入門」の解説になりますので、他大学の哲学勉強にも役立ててもらえると幸いです。
当ブログは正社員として働きながら法政大学の通信制で大学生をしている私が勉強について情報発信するブログとなっています。
教養課程「哲学」
哲学は教養課程の単位数4です。私が学習した時点でのテキストは、ラッセル著「哲学入門」でした。
こちらの書籍を使用して学習したので、他大学の方で同じテキストを使用してる方はぜひ参考にしてください。
内容
ラッセルの「哲学入門」の内容を学習します。テストもこの書籍を前提としています。確実な知識はあるのだろうか。この問いは実は難問なんです。この問いをラッセルは哲学的に処理していきます。そのなかで、哲学とは何か、批判的哲学の方法、観念論、イデア論、絶対観念などがでてきます。当時の哲学に対するラッセルなりの批判が出てきます。
哲学感想まとめ
成績、難易度、所要時間、感想の順で紹介します。
成績
私がとった成績はこちらです。
- リポート1・・・A
- リポート2・・・S
- 単位修得試験・・・A−
難易度
難易度は、3.5です。(こちらで各科目の難易度をまとめています)
所要時間
単位取得にかかった学習時間は、合計85時間でした。
- リポート作成(2冊)・・・71時間
- 試験勉強・・・14時間
感想
テキストが最初は読みにくく感じました。哲学初心者は、文章の意味を理解するのに最初苦労するかもしれません。いきなりテキスト読み始めるよりも、まず以下で述べる攻略を読んでからテキストを読むことを推奨します。
単位修得試験は、テキストの内容を理解したうえで、それの応用力を求められるような問題がでます。暗記するというよりも、哲学的な知識を理解することが大切でした。
テキストが難解なのと、独特な言葉がでてくるので、かなり読解力と表現力があがると思います。難しいですが、クリアすれば今後のリポート作成の役に立つと思うので、序盤でやっといたほうがいいかもです。
攻略法
私がリポート作成に使用した参考文献を紹介したうえで、おすすめの学習法と、哲学入門で重要な部分と分かりにくい部分を解説します。これを見るとテキストが読みやすくなると思います。
参考文献
今回使用した参考文献は以下のとおりです。
- 「哲学入門」バートランドラッセル著、ちくま学芸文庫
- 「ハイラスとフィロナスの三つの対話」ジョージバークリ著、岩波文庫
- 「国家(下)」プラトン著、岩波文庫
- 「教養養として学んでおきたい哲学」岡本裕一郎著、マイナビ新書
おすすめの学習法
- 以下に述べる哲学入門の解説を読んでから実際にテキストを最初から読む。(最初から読まないと理解できないと思う)
- 読みながらYouTubeで解説動画を見る(6章までは解説動画がある)
- テキストを読んで理解してからリポートを書く。
- このような流れがおすすめです。
哲学入門解説
まず、哲学という学問の大前提として、哲学とは人によって捉え方が異なります。本書では、ラッセルの哲学をベースにして哲学とは何か、そして哲学的に学問する方法について、本の中で一緒に哲学をしながら学ぶようになってます。この本で重要なことは、①哲学とはなにか、②哲学の意義。この2つです。以下、ラッセルの哲学をベースに解説します。
哲学とはなにか
哲学とは、批判的に問いを立てることを指します。今私たちが持っている知識のようなことに対して、批判的に問いを立てていくと、より根本的な問いへと近づいていく。そういった問いに対して論証(論理的に証明すること)していき、最終的にこれ以上疑うことができない知識に関しては受け入れても良い。つまり、哲学とはこのように知識を論証しようとすることを指す。
確実な知識はあるのか
さて、私たちが知識と考えていることが本当に確実といえるかは実は難問なんです。たとえば、目の前にあるテーブルの色そのものを私たちは確実に認識できているのでしょうか。テーブルは光の当たり方、朝か夜か、日光か蛍光灯か、このような条件が違うとぜんぜん違う色に見えます。では、テーブル本体が持つ本物の色は何色なのか。この時点でもう分からなくなってしまう。このようにテーブル本体がもつ色を「実在」、私たちが見る色を「現象」といいます。
私たちがテーブルを見る場合は「現象」を認識しているだけなんです。しかも、現象をそのまま認識できているかも疑問であり、あくまでも私の認識でしかない。この現象に対する認識を「センスデータ」といいます。つまり、私たちはテーブルという実在を認識することは不可能で、あくまでも実在から派生した現象を認識するのみで、センスデータを通してしかものを知ることはできないのです。ラッセルはこれを「面識」とよんでいます。
さて、ここで難問にぶちあたります。私たちはセンスデータしか面識できないとすれば、確実な知識は存在するのか。言い換えれば、「確実な論証」は可能なのだろうか。なぜなら、たとえば実在は認識できないとすれば本当に存在するのかも論証できないことになります。存在するかどうかもわからないものに対して確実であると論証することは難しいんです。
これに対するラッセルの回答は上述したように、本能的信念に照らしてこれ以上疑うことができないものは受け入れることが妥当である。この受け入れてもよいものが「知識」なんです。それゆえに、知識とはあくまでも蓋然的なものなんです。つまり、これが哲学の限界ともいえるのです。
こういったことを論証していくのが本書です。根本的な諸問題に対してラッセルの哲学で論証していきます。かなり根本的な、いや、普通は当然大前提としてもってるので検討したこともないような部分、それを考えるので常に頭をフル回転して読まないと読めないと思います。
哲学の価値
そんな哲学の価値についてラッセルの主張が書かれてあります。中でも重要な部分は、心における平和です。哲学とは、批判的に問いをたてて論理的に解消していくことにこそ価値があり、それは知識に寄り添うということなんです。これを哲学的観想とラッセルはいいます。
哲学的観想がない人は、本能的であり、自分のフィルターをとおしてものごとを判断しようとする。たとえば、「Aという知識があるに違いない」と考え、自分の理想ともいえる知識を追求してそれ以外を否定してしまう。そこには平和はなく不安がつきまとい、不自由で狭い世界なのです。
哲学的観想は、「あるに違いない」といった狭い世界から、「どんなものがありうるか」という無限の可能性に満ちた世界に私たちを置いてくれて、不安や不自由から私たちを解き放ち、心に平和を与えてくれるのです。
ちなみに本書の最後に「宇宙と一つになる」という言葉で締められますが、私はこの宇宙とは「全」的に捉えました。つまり、目にみえる宇宙という意味ではなく、この世や別の世界、ある世界ない世界、そういった全てを含んだ意味で宇宙と言ってるのだと思いました。以上のようなことを本書では事細かに哲学的に論証していくわけです。
まとめ
今回は、解説した内容は本書で弾き出された「答え」のような部分を書いただけです。上に述べたように、哲学は答えではなく、むしろその不確実さともいえる過程にこそ価値があるのです。つまり、これをレポートにそのまま書いても不合格になると思うので注意です。なぜ、そういう答えに辿り着いたのか。辿り着くことができるのか。その過程が重要なのです。そういう意味ではぜひ、答えに溢れた現代ネット社会に生きる人たちに読んでほしい名著だと思いました。
たとえば、りんごが落ちるのは重力の力である。という論理は確実に正しいと感じますよね。でも、それを100%論証することは実はほぼ不可能なのです。なぜなら、りんごが落ちるのは実は重力とは別の何かの法則が同時に働いていてそのおかげかも知れないことを確実に否定することはできないからです。
と、こういった読んでいて訳のわからなくなるような文章だらけなので読んでいて疲れますが、何度も繰り返し読んでいくと、いつの間にか読めるようになってくるんです。この哲学的な思考は人生において非常に役に立つと思います。おすすめしたい科目なので、ぜひ履修してみてください。
以上、参考になれば幸いです。質問はYouTubeのコメント欄から募集してるのでよろしくお願いします。黒野でした!